無題

 8月が終わってしまった。祖母が95になった。もう10年以上もぼけているのでもはや体が生きているだけのようになっているのだが、それでも生きているのはたぶんわたしのためであるような気がする。わたしがもう大丈夫というところへ行くまで、祖母は死なないのだ。わたしはそれを知っている。人がひとり生きるつづけるのは罪深いことであり、同時に尊いことでもある。