2021-02

母と伯母

母が居間のテーブルに座っていて、もっと早くこうなっていてもおかしくなかったのだとわたしに云った。こうなっていてもというのは、東京を引き払って実家に帰ってくることを指しているらしい。 次のシーンで、亡くなった母方の伯母が、ツイッギーみたいなミ...

ものの値段

父がわたしの作った本の値段を聞き、わたしが値段を述べ、父にその本にどれくらいの手間をかけたのか、と聞かれ、わたしが答えると、それでは一冊2000円かそこらにしなければ割に合わないな、と父は云った。それもそうだとわたしは思った。 ものに値段が...

布団を引いて

わたしは背中に布団を乗せて、雪道を這い進んでいる。暮れ方である。あたりは濃いすみれ色をしている。雪がどさどさ降っている。わたしはやわらかい雪を両腕でかきわけて進んでいる。 実家は二軒あり、三十年ほど前に新築した家のほかに、古い農家時代の家が...

早期退職

わたしは以前のアルバイト先に行こうと、駅のホームで電車を待っている。となりには同僚の女性がいる。電車がホームに入ってきて、わたしたちは乗りこもうとするが、電車は満員で、乗ることができない。わたしたちは少し早めに駅に着いていたので、やり過ごし...

外へ出られない

古い民家が舞台だが、その家には知り合いのひとりと自分が一緒に住んでいて、毎日出かける前に、知り合いは二階から降りてきてわたしをせまいトイレに閉じこめる習慣になっている。トイレは長い土間の一番奥にあり、和式のいわゆるボットン便所である。知り合...