雑記

復活

ご覧のとおり、ワードプレスに嫌気が差して一度はやめてしまったが、また元へ戻した。過去の記事もおおむね復活させてある。  ウェブサイトの運営はなかなか難しい問題があって、結局どんな方法を採っても一長一短あり、その中でなにを優先し、なにをやりた...
雑記

楽園への回帰

久々の投稿だが、まだまだ中国にいて、最近、白川静の『漢字の世界』を読みはじめたが、その中に前漢時代に編集された百科事典的な書物である『淮南子』の一文についての解説があり、非常に興味深かった。二、三日前にちょうど『淮南子』を読みはじめたばかり...
月刊誌「雪下」セレクション

念仏講

四月は宗教行事の多い月である。  まず第一日曜日に、集会所で念仏講というのがあった。家にお知らせの紙が配られていたので知ったのだが、なんなのか母に訊いてみたら、このあたりの婦人たちが集まってなにかする会だが、参加したことがないのでよくはわか...
月刊誌「雪下」セレクション

運命の殻

静かな河のほとり、大きな樹の下で、ひとりの修行者が物憂げに考えこんでいた。 「私の胸には、いま余人の思いもかけぬものが宿っている。私はついに修行を完成し、この上ない自由と安らぎを得た。だが私の心に、いまひとつの不安が兆している。なるほど私は...
日記

「戦場のメリークリスマス」鑑賞

十二月六日、早稲田松竹へ昔の映画を見に行く。大島渚特集をやっていて、「愛のコリーダ」と「戦場のメリークリスマス」をかけていた。どちらもはじめて見る。 「戦場のメリークリスマス」は戦争映画だが戦闘シーンは一切なく、日本人兵と外国人俘虜たちのや...
小さな話

Carpe diem

最近、ゆえあって日米地位協定について勉強している。これはたしかにほんとうにひどい。こんなことを勉強しはじめると、アメリカという国のずるさや唯我独尊的態度に心から悲しみが湧いてくる。なぜそんなことになるかといえば、やっぱり彼らの中のえらい人た...
雑記

中世装飾写本の魅力

こないだ雑誌にカリグラフィーをはじめた旨を書いたけれども、わたしには十二世紀の北ドイツで写字生をしていた過去がある。なぜ十二世紀なのかは知らない。十字軍の世紀とか、もっぱら修道士が写本の文字を書いていた最後の世紀だからとか、考えられる理由は...
聖書ノート

トビアの犬

聖書には実にたくさんの美しい物語があるけれども、トビト記はそのなかでも特に美しいもののひとつである。先日書いた、わたしの好きなハンス・カロッサという作家は、子どものころ、学校で計算問題をどうしても解けなかった。また、なぜ聖書の美しいお話のほ...
雑記

文学者の宿題

9日に、国立能楽堂へ能「蟬丸」を見に行ってきた。公演に先立って、東大名誉教授である松岡心平先生の解説があった。松岡先生の著作をわたしは愛読していて、『宴の身体』や『中世芸能講義』など深い感銘を受けながら読んだけれども、先生は天皇制と日本芸能...
小さな話

モーセ

ひどく年老いて痩せ枯れた男が、とぼとぼと山を登ってゆく。裸足の足は汚れ 衣の裾はすりきれている。彼はぶつぶつ云っている。 「おれがなにをしたというのだ。おれに平和を返してくれ。名誉は豚にくれてやれ。ただ年老いたおれにふさわしい静寂をくれ」 ...