わたしは横断歩道の前に立って、信号が変わるのを待っている。横断歩道の向かい側に、小学生らしい数人の子どもたちがいて、なにか話したりはしゃいだりしている。
その中心に、黒とピンクの服を着た、ひとりの女の子がいた。その子はちょっと太り気味で、太り気味の女の子によくあるように非常に早熟な体つきをしていた。その子はそのことに対する自覚があるのかないのか、ヘソ出しでフリルのついた服など着ている。はいているスカートの丈も短くて、太めの足がむき出しである。
小学生たちは、どうやら誰が一番かけっこが早いかというようなことをこれから競おうとしているらしい。するとそのリーダー格のぽっちゃりした女の子が、自分が一番早いに決まっていると云って、もう軽くジャンプをはじめ、いまにも駆け出すようなそぶりを見せた。その子のたるんだ腹やすでに膨らみのある胸が大きく揺れはじめた。ああこの子は、自分の体に起きつつある変化にまだ無自覚なのだ、それがどういう意味をもち、どのように眺められるものであるのか、この子はまだ知らないのだ。
それはなんだかいたたまれない感情と、泣きたくなるような感情をわたしにもたらした。すべての少女は、かつては少年だった。だが本人の自覚の有無など確かめられもせずに、問答無用である日突然少女になってしまうのだ。信号がもうすぐ青に変わってしまう。その子はきっと、その瞬間にこっちをめがけて猛ダッシュしてくるに違いない。あの胸を揺らして、あの腹をたぷたぷいわせて。

