これは明け方に見た夢なのか、物語がわたしを訪ったのか定かでない。
ひとりの英雄が、自分の恋人を拐かされて助けに向かう。恋人は絶海の孤島に幽閉されている。そこにはひとりの醜い女の化け物が住んでいるという。英雄がひとり船に乗って島へたどり着くと、そこには荒れ果てた廃墟があり、おそらくかつては神殿かなにかではなかったかと思われる。
英雄はこの廃墟に入りこんでゆき、途中、あたりにただよう古代の霊たちから助けてもらったりして、最奥にいる女の化け物のところへたどり着く。化け物は、体はクモのようで、頭部が女なのであるが、目はあやしい黄色に光り、ふり乱した途方もなく長い髪は鞭や蛇のように動いて、相手を打ちつけ、絡めとり、締め上げようとするのである。
英雄はこの化け物に戦いを挑み、苦闘の末ついに倒すことに成功する。化け物が息絶えると、それはひとりの若い女の姿に変わり、そこへ非常に古い時代の男の霊があらわれる。その男は、この女は誓いを交わしたわたしの花嫁であるといった。だが非常にむごい呪いからこのような姿に変わり、うら若い女の生き血をすすって何千年と生きながらえてきたのだと云った。わたしの肉体はとうに滅びたが、それでもこの女はわたしの誓った花嫁である、とその男は云い、女の体を抱きかかえ、どこかへ消えた。
英雄はその後、廃墟の奥に閉じこめられていた自分の恋人を無事とりもどし、船に乗って帰郷するのであるが、去り際に、たしかにここは遙か昔には人々の崇拝を集め、熱心に信奉された女神の神殿に違いないと思う。

