祖母のいる施設から連絡があり、祖母が亡くなったということで、施設に確認に行ってきた。
施設を出て、乗ってきたトラックに乗りこみ、ふとダッシュボードを見たら、トラックのラジオがAM936の周波数を拾っていた。祖母は九時三十六分に終わったのだと思うことにする。
家に帰り、車を降りてふと向こうの杉の木立を見たら、その上にうっすらと雲を透かして月明かりがかかっていた。雪が降ってきた。冷たく固い粒状の、あられのような雪である。雪は幻想的だなどとよく知らない人は云うが、これほど現実的なやつをわたしは知らない。雪女はいつもわたしを見てはほくそ笑んだりあざ笑ったり、そうかと思うとやけに優しげな笑みを見せたりするが、このとき杉の木立の陰で、雪女がひっそり笑っているのをわたしは見た。

