わたしは分析を受けているのである。分析家は女性だが、わたしの全然知らない、なんだかおっとりした顔の女性である。小学生のときに学校にいた先生に似ていなくもないが、とにかくこのおっとりした分析家を前にして、わたしは自分の夢の話をはじめる。その夢は、とある知り合いの女性が出てくる夢で、わたしがその夢のあらましを分析家に話すと、分析家はその人はわたしの愛であって、愛そのものだという。
分析が終わりに近づくと、分析家は自分の話をはじめ、自分の大きく膨らんだお腹を見せて、わたしに妊娠していることを告げる。そして彼女のいる国には、妊婦についてある独特の習慣があるという話をする。その国には、ナントカいう横文字で呼ばれる、妊婦につきしたがって世話をする女性がいるという。妊婦には必ずこの女性がひとりつくことになっていて、その女性は妊婦が出産を終えるまで、終始そばにいて妊婦を支えるのだが、分析家もいま妊娠しているから、その存在が非常に心強いものに思えるという。彼女はおっとりした顔をほころばせて熱心にその存在を褒め称え、その制度はほんとうにすばらしいというのである。
例の夢のせいで、このころのわたしの精神状態というものはちょっと大変なものであったわけだが、ちょうどこのころ、弟が結婚することになって、その相手の女性と会うことになった。
わたしの分析家は、このころのセッションで、弟の結婚はわたしの結婚なのだと言ったが、いまはその意味がとてもよくわかる。

