倒木

 家の近所に集落の神社があって、観音様を奉ってある。わたしはときどきそこへ行って、何をするでもなくお堂の周りをぶらぶらするのだが、そのお堂の裏手にある古い木が枯れて倒れ、農道をふさいでしまったので、今日役場から作業員が来て、道に倒れた木を細切れにして運んでいった。

 わたしは家の裏からそれをじっと見ていた。その木には子どものころからなにかと世話になっているので、弔いをしてやるつもりだったのだが、あとは頼んだとその木が言うので、何を頼まれたのかはわからないが、わたしはわかったわかったと言って、ただその木の終わりを見届けた。