白井晟一

 建築家の白井晟一と母方の祖父が知り合いだったことがわかった。
 白井晟一は秋田にいくつも作品を残している人だが、どうやら祖父はどこかのタイミングで彼と知り合いになって、東京へ行くたびに家に顔を出すような関係を築いていたらしい。

 白井晟一は祖父より20ばかり年上で、父親を早くに亡くした祖父が、この芸術家とどういう会話をしていたのか、何をそこから汲みとって生きていたのか考えると、非常に興味深いものがある。

 祖父は美術品の熱心な収集家だったし、また見る目を養うために、美術全般について非常によく勉強していたようで、母の実家にある祖父のその手の本をわたしはことあるごとに抜きとり抜きとりして、本がきれいに並んでいた本棚をあちこち穴だらけにしてしまったが、今回のようなことがわかると、わたしの血のなかに祖父の学んだものの養分がぬかりなく入っているように思って、なんだか愉快な気持ちになるのである。