作家という生き物

スパイをしている軍人が、重々しい顔つきで、円卓に並んだ自分の部下たちとひそひそ声で相談している。やがてスパイの軍人は小さくうなずき、命令を了解した彼の部下たちは部屋を出て、それぞれの任務のために散っていく。 わたしはそのシーンを眺めていただ...

自画像

舞台は古いディズニーアニメの世界で、白黒である。おっかない顔のブルドッグが悪役で、このブルドッグが大きな屋敷のどこかに絵を描いておいたので、わたしはそれを探さねばならない。ブルドッグは、ただ絵を描いただけではなく、その絵を探す人間を妨害する...

ものの値段

父がわたしの作った本の値段を聞き、わたしが値段を述べ、父にその本にどれくらいの手間をかけたのか、と聞かれ、わたしが答えると、それでは一冊2000円かそこらにしなければ割に合わないな、と父は云った。それもそうだとわたしは思った。 ものに値段が...

学者と剣をとる男

わたしはとある大学教授の講義に出席している。眼鏡をかけた、穏やかな顔の40代くらいの教授が講義を担当している。教授は細身だが、よく見ると案外しっかりした体つきをしている。 教授は淡々と講義を終えて部屋を出てゆく。廊下で教授の母親が、なんとな...

布団を引いて

わたしは背中に布団を乗せて、雪道を這い進んでいる。暮れ方である。あたりは濃いすみれ色をしている。雪がどさどさ降っている。わたしはやわらかい雪を両腕でかきわけて進んでいる。 実家は二軒あり、三十年ほど前に新築した家のほかに、古い農家時代の家が...

外へ出られない

古い民家が舞台だが、その家には知り合いのひとりと自分が一緒に住んでいて、毎日出かける前に、知り合いは二階から降りてきてわたしをせまいトイレに閉じこめる習慣になっている。トイレは長い土間の一番奥にあり、和式のいわゆるボットン便所である。知り合...

数学のプリント

高校時代の夢で、わたしは教室で友人のAと数学の試験のために準備をしている(Aは数学が得意である)。そこへ、もう名前を忘れたが顔は覚えている、別の女生徒がやってきて、数学のプリントを貸してくれと云ってきた。彼女は高校のある時期わたしの後ろの席...

進まない美容院

わたしは同級生たち数名と美容院に来ている。わたし以外の人たちは、一階の明るい美容院で施術を受けているが、わたしはなぜか頭にバターとほかのなにかからなる液体をかけられ、タオルかなにかで頭をぐるぐる巻きにされて椅子に座らされたまま、エレベーター...

役に立たない男

フレンチコートに中折れ帽をかぶった男たちが、壁を向いて一列に並ばされている。夢はそのなかのひとりの男の独白からはじまる。「奇妙なことだ。あの男がこのことに気がつかないとは」 男たちは、ときどき手を上げたり下げたりする。いま背後にあるものが、...

書き手の限界

作家のAとタレントのBが、文学賞の最終審査を行っていた。彼らは応募原稿のレイアウトがことごとく正しくないのに怒っており、どの作品も求められている体裁を守っていないという。守っているのはこの作品くらいだと言って、彼らはわたしの原稿をとりあげた...