大学の集まりで古いバーへ行くことになるが、そこはなぜかイタリアマフィアの経営するバーで、入り口の横にカウンターがあり、そこで受付しなければならない。
若いイタリア人の男がステンレス製の細く短いカウンターの後ろに立っている。カウンターの前には脚の長い椅子がふたつあり、ひとつに日系の男が座っている。右の鼻の穴に細い銀色のタバコを差している。男たちはふたりとも黄褐色の帽子と外套を身につけており、いかめしい顔をしている。
わたしがそこへ行くと、学生らしいひとりの男がカウンターの前でおろおろしており、ほどなく追い返されてしまった。ここは日本のはずだが、彼らには日本語が通じないようである。
わたしはなぜか不安をあまり感じなかった。わたしがカウンターへ行くと、若いイタリア男は微笑んだ。繊細な、どこか女性らしい顔立ちをしており、肌は白かった。わたしは椅子に座っている男のほうに話しかけることにした。こちらは年配で、外で働く労働者のように日焼けしている。目は一重で細く、顔にはシミがたくさんある。そして右の鼻の穴からタバコをぶら下げているのだが、満足そうに目を細めてそれを吸っている。
わたしは彼にたどたどしい英語で話しかけてみた。わたしは大学の学生である、リストに名前があるはずである……語学はまったくできないが、どうにかしなくてはならないと感じた。
男はわたしを見、よいよいというように手を振って、気さくな感じでわたしにリストを差しだしてきた。こわいような目つきの男だったので意外な気がした。わたしは男に親しささえ感じた。
入口のドアは非常に狭く、小さかった。ガラス張りになっているので、中に人が大勢いるのが見えた。あの中へ入っていくのだ、とわたしは思い、夢はそこで終わっている。
その前にこれに連なる一連の夢を見た気がするのだが、細部をよく覚えていない。中央アジアか西アジア出身の男を出国させるために、数人の仲間と奮闘する夢だったようである。彼は政治的な理由で亡命してきたかなにかで、手続きが進まず出国できないで困っていた。
わたしたちは役人にかけあったり書類を用意したり、彼のために働いた。チームのなかにはわたしに好意を寄せ、なにかと助けてくれる男がおり、それはイタリア人の若い男に似た、繊細そうな顔だちの男だった。チームのなかで、というよりこの夢全体のなかでだが、女性はわたしひとりだったと記憶している。わたしは終始ハイヒールで動きまわっており、自分が女性であることは意識していたが、だからどうというわけでもなく、自然に男たちのなかに溶けこんでいた。わたしは現実の体重よりだいぶ痩せていたようである。
先述したバーへは、無事に男を出国させることができたお祝いに行ったかもしれない。

