わたしは母とともに家の近所の森(ほんとうは集落の共同墓地への入り口で、鬱蒼としているが森というほどではない。しかし夢では森になっていた)に入っていった。霧がかかった入り口を抜けると、地面には薄く雪が積もっていた。あたりは暗く、自分の数歩先までしか見えなかった。わたしは確かに母に手を引かれて森へ入ったはずだが、母の姿は見えなかった。ただ足跡と風が母の行方を示すだけだった。わたしが不安になって母を呼ぶと、風が吹いてきて行き先を示した。わたしは森をさまよっている途中で目が覚めた。
こういうふうに、なんだかわからないけれども重要なことはわかるし印象的だという夢がある。
風というやつはだまっていてもいろんなことを教えてくれるし、わたしは風から不思議な物語をずいぶん聞いたように思うが、この夢でこのあと母に再会するまでに、わたしはかなりの旅をしなければならないような気がする。

