ロージー

 ロージーは小さな田舎町に住む女の子だ(10歳くらい)。両親と妹と一緒に暮らしている。ロージーはいつも上機嫌で、鱈が好きで、鱈を食べるのも好きだが、鱈のぬいぐるみをかわいがるのも好きだ。ロージーはちょっと変わった子なので、母親は心配している。妹はロージーより小さいがロージーよりずっとしっかりしている。

 今日、ロージーはひとりで、両親とよく行く町のレストランに食事をしに来た。首にはひもをつけたがま口の財布がぶら下がっている。おばあさんが作ったのか、おばあさんのものだったのか、とにかくおばあさんの財布だ。ロージーはおばあさんと、おばあさんのものが好きだ。おばあさんのものはみんな古めかしく、ほとんどがらくたなので、お母さんはそうしたものが好きではないがロージーは好きである。
 このレストランはロージーのお気に入りである。入り口の、レジ横の壁に大きな鱈の飾り物が置いてあるからだ。壁から頭だけ出しているぬいぐるみという変な飾り物で、ロージーは店に入るといつもそのぬいぐるみに駆け寄って、なでたり叩いたり挨拶したりする。母親に早く席に行きなさいと怒られることもしばしばだ。
 ロージーは鱈に挨拶すると席につく。席には店の支配人の、背広を着た男の人が座っていて、なんとなく不安げにロージーを見ている。席にはメニュー表が置いてあり、ロージーはそれを眺めはじめる。ウェイトレスの女性がやってきて、どうせいつもの鱈料理だろうと決めこんでメニューをもっていこうとするが、ロージーは抗議する。
「あたしがなにを食べたいか、あんたにわかるの?」
 ウェイトレスの女性は肩をすくめ、支配人に目配せして引き下がる。

 ここで場面が切り替わって、レストランまでロージーを迎えにやってきた両親と妹を映し出す。母親は明らかに不安げで、父親もちょっと不安げである。小さい妹でさえ、お姉ちゃんはひとりで食事できたのだろうかといぶかしんでいる。そこへロージーが出てくる。結局いつもの鱈料理を食べたのだが、ロージーは誰にもうるさく云われずに、ひとりで食事したことに満足である。ちゃんと食事をしたご褒美とでもいうのだろうか、ロージーはあの鱈のぬいぐるみをもらってきた(強奪してきたのかもしれない)。

 こういう女の子が、自分のなかですくすく育ってほしいものだ。