わたしは学校の教室のようなところにいる。長机が並べられた教室の前には教壇と黒板があって、教壇には女教師がひとり座って、プリントかなにかに目を通している。
わたしは教室にひとりきりで座っている。ほかには誰もいない。わたしはパソコンを取り出して、ヘッドフォンをつけ、ネットサーフィンをはじめる。その教室では、インターネットは決められた時間ごとに使用料を払わねばならない決まりになっていることをわたしは知っているが、わたしはそこでずいぶん長い時間を過ごした。そののち、胸をどきどきさせながらパソコンをしまい、立ち上がった。
「あなた、お金を払わないと……」
と女教師が云っているのを背中に聞きながら、わたしは隙をついて教室を抜け出した。胸はまだどきどきしていて、わたしは罪悪感と興奮とが入り交じった不思議な感覚に包まれていた。
「これで悪人の気持ちがわかった」
とわたしは考えた。
「これで悪人のことが書ける」
わたしにとって、それがなによりも嬉しかったのである。
建物を出たとき、そこが昔通っていた小学校だったことがわかった。そういえばあの女教師の顔もどこかで見たことがあると思っていたが、小学校の先生だったような気がする。学校を出ると、右手に原っぱがある。ブランコが置かれていて、グミの木があって、女子に人気の場所である。
わたしはその原っぱを歩く自分の足元を見つめていた。いまにも女教師が追いかけてくるかもしれないとどきどきしながら、わたしは愉快に、左右交互に進んでゆくスニーカーを履いた自分の足を見つめていた。
悪人の気持ち
夢
