最初の夢では、詳細は覚えてないが、わたしは福福しい顔の老人と出会い、恋仲になる。
その次の場面では、わたしは家の小屋の裏でさる料理研究家と話をしていて、その人曰く、彼はわたしを知っていて、昔は毎週のようにわたしの父と酒を飲んだ仲だという。はじめは不思議に思ったが、そういわれてみれば父がしょっちゅう東京に来ていた時期があり、彼が父を知っているのもうなずけると思った。
このころから、わたしは東洋的翁の懐に抱かれはじめたらしくて、おりしも中国古典など読みはじめたころでもあり、たとえば荘子を読みすすめれば読みすすめるほど、老成した知恵とでも呼ぶべき叡智が満ち満ちているのを感じた。これまで少しも知らなかったが、東洋と恋仲になることは、わたしの長年の悲願であったのに違いない。人は最後には、おのれ自身と結婚することになるのに違いない。

