わたしはヤクザの親分の娘であるらしい。兄貴が四人もいて、わたしは末娘である。どうやら父親が死んで一番上の兄貴が親分の座についたようだ。四人の兄は皆紋付きの袴を着ていて、わたしに向き合っている。黒いスーツ姿の男たちがそばに控えている。
長兄が云うには、おまえもこの組織の一員である以上、なにか仕事をしなければならぬ、遊んでただ飯を食うなどとは、おまえのためにもよくないことである。それで、どんな仕事が一番おまえに合っているか、これからいろいろ試すことにする。
わたしはこれにカチンときて、声を荒げて反対する。わたしが本を読んでぷらぷらしているのをただ遊んでいるように人は見るであろうが、わたしはこれで大仕事をしているのであって、兄貴たちはただわたしにしたいようにさせてくれていれば、それが一番いいのである。仕事などしたら台無しであり、わたしをただ遊ばせておくことが一番の利益になるのだということがわからないか。
しかし次の場面では、わたしはどうやら働きに出されたようである。文化施設のように見える巨大な建物の前に連れてこられるのだが、その建物の前には、昔のバイト先の事務員だったTさんがいて、ここが仕事場で、やり方はここに書いてありますといって、建物の前に立てられた掲示板のようなものを示した。
そこへ同級生がやってきて、わたしが仕事のやり方を教えてあげると云って、自分についてくるように云った。その仕事のやり方というのは、掲示板のそばにある棚に、いろんなパーツが置いてある。パーツの裏に棚番号が書いてあるので、施設内の所定の棚に収めるのだというのである。そのパーツというのは、コサージュのようなものだったり、薄い歯車だったり、アクセサリーのようなものだったりしたが、ともかくわたしは指示に従って、棚からレンコンみたいな歯車をいくつか取って、同級生と一緒に建物の中に入る。
中はだだっ広い店舗のようになっていて、天井まで届く陳列棚が並んでいる。わたしはパーツの裏に書かれた番号の棚を探し出し、それを置く。この作業を一日ずっと繰り返すのである。
途中でTさんに会ったので、このやり方はいささか非効率のように見えるがどうなのかと訊いたら、Tさんは、そう見えるのも無理はないが、なにしろあまりにも扱う品目が多く、なかなか効率化が難しい、いろいろ試した結果、非効率に見えるこのやり方が一番いいようだと答えた。

