蛾と猿と

 わたしは実家の父のベッドに寝ていた。部屋の中は薄暗かった。父のベッドのすぐ横には窓があり、厚いカーテンがかかっている。わたしが目を覚ましてふと窓のほうを見ると、カーテンに灰色のビロードのような毛をした、指二本分くらいの太さはありそうな大きな毛虫が二匹くっついていた。ベッドと壁のあいだに、その毛虫が成長したらしいガが逆さにとまっていた。ガは壁のかなり低いところにとまっていたので、ベッドに隠れて姿は半分しか見えず、太くて白い腹と、オレンジの羽の一部がのぞいていた。

 そのさらに次の夢では、カーテンのところに大中小の大きさをした三匹のサルがいた。灰色の毛をして、顔が赤い。わたしは後ろをふり返って、殺虫スプレーを取り出した。ふり返るとそこはなぜか父の寝室ではなくわたしが住んでいる部屋で、殺虫剤はいつもの棚の中にあった。わたしはそれをとって、またふりかえって(景色は寝室に戻った)サルに向かってスプレーを噴射した。
 だがしょせん虫用の殺虫スプレーであるから、サルたちには効果がなく、連中は相談するように顔を見合わせて、スプレーのためというよりわたしの剣幕のために、なんだか困惑しながらその場から離れていった。