2021-03

読書記

ふたりのカフカ

なぜカフカを読みはじめたか知らないが、目についてしまったものはしようがない。訳者の池内紀が、解説に書いている。「カフカ伝説」といったものがある。文学世界のから騒ぎとは遠いところで、地道な生活のかたわら、ひっそりと、発表のあてのない小説を書き...
日記

春が来る

春である。日差しは冬のあいだ自分にまつわりついていた雲をはらいのけ、勢いをとり戻しつつある。ついこのあいだまで、世界は白と灰色に過ぎなかった。太陽はいまおのれの王国をとり戻しつつある。太陽は色の王国に住んでいる。よろこびの、歓喜の王国に住ん...

男子生徒のカウンセリング

わたしは高校生で(だが校舎は通っていた中学校のもの)、なぜかわたしの分析家が学校のスクールカウンセラーみたいなことをしている。ひとりずつ保健室のような部屋に入ってカウンセリングを受けるのだが、部屋の前には椅子が並べてあって、何人かの生徒たち...
読書記

大和国の価値観

ふとドン・キホーテに出てくるマルセーラの話を思い出し、読み返す。ドン・キホーテが遍歴の旅の途中、山の中で羊飼いたちに出会うのだが、その羊飼いたちがドン・キホーテに語って聞かせる話である。 マルセーラは、近くの村のたいへんな金持ちの家に生まれ...

祖父母

わたしが古いほうの家に行くと、なぜか座敷の入り口にパネルヒーターがめぐらしてある。この家はもう使っていないはずなのになぜだろうと思っていると、後ろに祖父が来て、わたしは思わず祖父をふり返る。 次のシーンでは、座敷の真ん中にこたつが置いてあり...

赤いパプリカ

わたしは昔からの友人を連れて、常連になっている飲み屋に来ている(とはいえ店の中は現実の店ではなく、亡くなった伯母の家である。古い小さな平屋の一軒家で、縁側があり、縁側の前に夏みかんの木が植えられている)。友人の夫があとから来ることになってい...